岐阜市長選公開討論会(2018年1月9日)での中根西光さんの話を聞いた感想です。
岐阜市長になって観光事業に一番力を入れたいと考えているのだなという印象を受けました。具体的な観光事業の政策は
- 鵜飼をユネスコ無形文化遺産に登録する。
- 金華山に3本ほどの巨大な滑り台を作り、金華山全体を子供のワンダーランドにする。
- 鵜飼を朝昼晩3回制にする。
- 鵜飼終了後にお客さんを岐阜駅に戻してしまうのではなく、中心市街地の居酒屋やスナックやいろんなお店に行って買い物をしてもらう。
- 鵜飼の内容を変える。例えばイルカのふれあいショーのように鵜とのふれあいショーをやってお客さんを増やす。
といった内容を話されていました。長良川鵜飼は世界の三大喜劇王と呼ばれたチャールズ・チャップリンが2度訪れ「Wonderful Wonderful」と絶賛したほど、他にはない魅力あるコンテンツだと思います。だから鵜飼には計り知れないポテンシャルがあると思います。しかしイルカショーのように鵜のふれあいショーをやるという発想は少々短絡的かなと思いました。かわいいイルカだから人が呼べるのであって、鵜とふれあえるというだけでは人は呼べないと思います。
チャップリンは1961年に訪れた2度目の鵜飼で、1936年との変わりように大変落胆したそうです。チャップリンが再び訪れてもう一度見たかった鵜飼は、「真っくらな川かみから等しい間隔を置いて、ポツン、ポツンとウ舟のかがり火があらわれてくる。その情景はみごとな芸術家の演出の腕前を思わせた」鵜飼でした。僕はここに世界から観光客を呼ぶヒントがあると思います。
真っ暗するのは周辺の協力が必要になり困難かもしれませんが、ショーのような中途半端な真似事をするより、チャップリンが「Wonderful」と絶賛した鵜飼を再現する原点回帰への政策に挑戦してもらいたいと思っています。
チャップリンが4度目に来日したとき、変わり果てた鵜飼の姿に落胆したというが、これについて記した新聞記事、回想録、対談などがあるか。
今後の子育て・教育政策について、どのような部分に力点を置くのかという質問に対しては「教育者が重要」と話されていましたが、どのようにして優秀な教育者に来てもらうのかという解決策には言及しておらず、問題提起だけに終わってしまっていたのが残念でした。教育者が重要という点については同意します。教員免許等の問題がありますが、民間企業などの学校関係以外の社会経験がある教育者を一定数加えるという解決策がいいと思います。
地域づくりについての質問には、
市庁舎を今の場所ではなく、できるだけ柳ヶ瀬に近いところにつくるべきで、関や河渡、長良橋といった交通の中心になる、例えば神田町交番の南側につくり、そこを中心にエネルギーを溜めて、そのエネルギーの力で広げていく。
というアイデアを話されていました。
僕は、果たして柳ヶ瀬にこだわる政策を取る必要があるのかという疑問を持っています。昔と違って、大型ショッピングモールがある今、多くの岐阜市民にとって柳ヶ瀬は必要なコンテンツではなくなっていると感じるからです。だから例え市庁舎が柳ヶ瀬近くに建ったとしてもショッピングモールにはない新たな魅力を作り出せない限り、柳ヶ瀬の活性化は難しいと思います。
ちょっと?と思う箇所もありましたが、中根さんは他の候補者に比べると自分のやりたいことをストレートに話されていたので、何がやりたくて岐阜市長選に立候補したのかという点では思いが伝わるいい討論だったように思いました。